2025/09/27

【保存版】小学生が間違えやすい「ことわざ」|親ができる正しい伝え方

コラム一発理解!PODCAST版


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1. はじめに

ことわざは、古くから日本人の生活や考え方の中で語り継がれてきた知恵の結晶です。短い一文の中に人生の教訓や人間関係のあり方、自然との付き合い方などが凝縮されており、言語文化の宝庫といえます。子どもにとってことわざを学ぶことは、単なる暗記にとどまらず、読解力・表現力・思考力を育てるための土台になります。

しかし現代の子どもたちは、日常生活の中でことわざを耳にする機会が減り、意味を取り違えて覚えてしまうことが少なくありません。例えば「情けは人のためならず」を“親切は人のためにならない”と誤解したり、「猿も木から落ちる」を“猿だから木から落ちる”と捉えたりするケースです。

そのまま放置すると、学校のテストや作文で誤用するだけでなく、大人になってからも不自然な日本語表現を使ってしまう恐れがあります。さらに近年は中学受験国語でもことわざが頻出するため、正しく理解しておくことが学力面でも重要です。

とはいえ、親が「勉強だから覚えなさい」と詰め込むのではなく、家庭の会話や遊びの中で自然に学ぶ工夫をすることが一番の近道です。本記事では、子どもが誤解しやすいことわざの代表例と、親ができる正しい伝え方の実践法を紹介します。

2. なぜ子どもはことわざを間違えやすいのか

子どもがことわざを正しく理解できない背景には、いくつかの共通した要因があります。

  1. 言葉のイメージに引っ張られる
    現代の感覚で直訳的に理解してしまうことが原因です。たとえば「情けは人のためならず」を、“人のためにはならない”と短絡的に考えてしまうのは典型例です。ことわざは比喩や歴史的な言い回しを含むため、現代語の表面的な意味とずれが生じやすいのです。
  2. 実生活で耳にする機会が少ない
    昔は祖父母や親が日常会話でことわざを自然に使う場面がありましたが、現代ではそうした機会が大幅に減っています。その結果、子どもは文脈の中で体験的にことわざを学ぶことが難しくなり、「ただの暗記用の言葉」としてしか捉えられなくなりがちです。
  3. 暗記偏重の学習スタイル
    学校の小テストやドリルのためだけに覚えると、意味を理解しないまま「形だけ覚えている状態」になります。この場合、会話や作文で応用することができず、“知っているけれど使えない”知識になってしまいます。
  4. 比喩や古語の難しさ
    「馬の耳に念仏」や「弘法も筆の誤り」などは、直訳するとかえって意味が分かりにくい表現です。子どもにとっては“馬はありがたい言葉を聞いて感動するのかな?”と誤解してしまうなど、比喩のイメージがかえって混乱を招くケースが多いのです。

3. 子どもが誤解しやすい代表的なことわざ

以下の表は、特に誤解しやすいことわざの代表例です。

ことわざ 誤解しやすい意味 正しい意味
情けは人のためならず人のためにならない親切は巡り巡って自分に返ってくる
鬼に金棒強すぎて危険になる強い者がさらに強くなる
弘法も筆の誤り名人は失敗しない名人でも失敗することがある
馬の耳に念仏誰でもありがたいと感じる聞く気のない人には無駄
弱り目に祟り目弱い人を助けてもらえる不運にさらに不運が重なる
猿も木から落ちる猿だから落ちる名人でも失敗はある
石の上にも三年石に座れば平気根気よく続ければ成功する
二兎を追う者は一兎をも得ず欲張れば両方得られる欲張るとどちらも得られない
知らぬが仏知らないと損をする知らなければ腹も立たない
雨降って地固まる雨が降ると地面が固いトラブルの後に物事が好転する

これらは学校教材や受験問題に繰り返し登場する定番のことわざです。単に意味を丸暗記するのではなく「どのような場面で使うか」を理解することが、使いこなしのカギになります。

4. 家庭でできる「正しい意味」の伝え方

家庭で親ができる工夫を取り入れることで、ことわざ学習はぐっと楽しく、効果的になります。

  1. イメージを共有する
    イラストや絵本を通してことわざの場面を描くと、子どもは直感的に理解できます。例えば「鬼に金棒」を鬼の絵と一緒に見せれば、“鬼が強さを増す”イメージが自然に伝わります。
  2. 誤解例をあえて提示する
    「“情けは人のためならず”って、人のためにならないことだと思う?」と問いかけ、子どもに答えさせてから正しい意味を説明すると記憶に残りやすいです。誤解と正解を対比させることで、理解が深まります。
  3. 会話に自然に取り入れる
    「今日は雨で試合が中止、まさに“弱り目に祟り目”だね」など、家庭の出来事と結びつけて使うと、子どもは“こういう場面で使うんだ”と実感できます。
  4. 子どもに例文を作らせる
    親が例を示した後は、「自分ならどう使う?」と問いかけましょう。作文や日記に取り入れることで、ことわざが自分の言葉として定着します。
  5. 辞典や絵本の活用
    子ども向けのことわざ辞典や絵本は、イラストやストーリーで意味を補ってくれるため効果的です。家庭に一冊常備しておくと便利です。

5. 読書との関連付け

読書はことわざ学習と非常に相性が良く、ストーリーを通して自然にことわざの意味を体感できます。

  1. 物語からことわざを探す
    読んだ本の登場人物の行動をことわざで言い表す練習をしましょう。
    • 『ごんぎつね』 → 「情けは人のためならず」
    • 『桃太郎』 → 「鬼に金棒」
    このように結びつけることで、言葉が実体験として身につきます。
  2. 読後の親子対話でことわざを活用
    「このお話をことわざで表すとしたら?」と問いかければ、子どもは自分なりに考え、表現する力を育てられます。
  3. 読書感想文や日記に取り入れる
    「努力して成功した主人公は“石の上にも三年”だと思った」など、文章にことわざを盛り込むと表現が豊かになります。
  4. 読書習慣との相乗効果
    日々の読書がことわざ理解を助け、ことわざ学習がまた読書の楽しみを深める。こうした相乗効果が子どもの学力全般を押し上げます。

6. 中学受験につながる学習として

中学受験国語では、ことわざや慣用句が頻繁に問われます。特に応用問題では「本文の内容をことわざで表すと?」といった形式も多く、単なる暗記では対応できません。普段から「どんな場面で使うか」を意識しておくことで、文章理解とセットで身につきます。

また、高校・大学受験でもことわざが登場する場合がありますが、小学生段階では“正しい理解と家庭での自然な活用”を最優先にしましょう。これが将来の受験学習の大きな基盤になります。

7. まとめ:親子で楽しくことわざを

ことわざは日本語の奥深さを伝えるだけでなく、語彙力・表現力・思考力を育てる大切な学びです。正しい理解を身につければ、中学受験対策だけでなく、将来の学習や社会生活にも必ず役立ちます。

保護者は「難しいもの」と身構えるのではなく、日常生活や読書の中で自然にことわざを紹介してあげるのがポイントです。親子で笑いながら「今の状況に合うことわざは何かな?」と考えるだけでも、子どもにとって貴重な学習になります。

「情けは人のためならず」のことわざのように、親の小さな声かけや工夫は必ず子どもの未来につながります。ぜひ今日から、親子でことわざの世界を広げてみてください。