【保護者必見】不登校児童生徒の出席認定:理解とサポートのためのガイド
はじめに
不登校のお子さまを持つ保護者の皆さまへ。学校に行くことができない、あるいは行きたくないお子さまが、学校以外での学習活動を通じて出席扱いを受けられる仕組みをご存じでしょうか?文部科学省は、不登校児童生徒の努力と自立をサポートするために、学校外の学習や活動も評価する「出席認定」制度を設けています。本記事では、その制度の概要や要件、活用のポイントを解説し、保護者としてできるサポート方法についてもお伝えします。
出席認定制度の概要
趣旨
不登校児童生徒の中には、学校外の施設で社会的な自立に向けて懸命に努力している子どもたちがいます。文部科学省は、そうした子どもの努力を学校として評価し支援するため、一定の要件を満たす場合に学校外の活動を出席日数に含める「出席認定」制度を設けています。
出席認定の要件と基準
学校外の施設における活動の出席認定
- 保護者と学校の連携
学校と保護者が十分な連携・協力関係を保っていることが必要です。
- 相談・指導施設の適格性
活動を行う施設は教育委員会が設置する教育支援センター等の公的機関であることが原則ですが、公的機関での指導が困難な場合は民間施設も考慮されます。民間施設の適格性は校長が教育委員会と連携して判断する必要があります。
- 施設における相談・指導の内容
施設での相談・指導が社会的な自立を目指すものであり、学校復帰が可能となるよう個別指導等の適切な支援を実施していると評価される必要があります。
- 学習内容と評価
学習の内容が学校の教育課程に照らし適切と判断される場合、その成果を指導要録や出席簿に反映させたり、通知表等で積極的に評価することが望まれます。
自宅でのICT学習活動の出席認定
「出席認定」制度は、自宅などでICTを活用した学習を行う場合でも利用できます。文部科学省は以下の要件を示しています。
- 保護者と学校の連携
保護者と学校との十分な連携・協力関係が必要です。学校の担任の先生に保護者側から相談するところからスタートするのが良いでしょう。この制度のことを学校が知らないケースも多いため、自宅での学習が出席扱いとなる制度があることを説明し、協力をあおぐことが必要になります。
- ICT学習活動の定義
ICT(コンピュータ、インターネット、遠隔教育システム等)や郵送、FAX等を活用した学習活動を指します。
- 対面指導の実施
訪問等による対面指導が適切に行われることが前提です。対面指導は定期的かつ継続的に行われる必要があります。学校によってスクールカウンセラーや保健室、適応指導教室などが設置されていますが、こちらについてもまずは担任の先生に相談すると良いでしょう。
- 計画的な学習プログラム
学年や学習の理解度に応じた計画的な学習プログラムが必要です。
- 校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること
校長先生が指導状況や学習状況を確認するために、何らかの形で学習の記録を提出する必要があります。1日の学習時間や、達成状況などを提出するケースが多いですが、具体的にどのような記録が必要かは学校との相談で取り決めることになります。
- 学校外の公的機関や民間施設等で相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であること
自宅で学習を進めるかどうかは、お子様も含め家庭内で慎重に検討しましょう。教育支援センターやフリースクールで学習を進めるという選択ももちろんあるため、お子様にあった学習スタイルを選択することが大切です。
- 学習活動の評価と反映
学校の教育課程に照らし適切と判断される場合、成果を指導要録や出席簿に反映させることができます。シンプルに表現するならば、「学校の授業を受けていなくても、適切な学習活動であれば、通知表で成績をつけてもらうことができる」ということです。ただし、この評価への反映については、教育委員会や校長先生の判断による部分も大きいため、学校側との協議が必要となります。
出席認定のメリット
学習の遅れの改善
出席認定により、不登校による学習の遅れを補い、学校復帰や卒業後の進路選択の妨げを取り除くことが可能です。
自己肯定感の向上
学校外での努力が評価されることで、自己肯定感が高まり、社会的自立への道が開けます。
出席認定の活用方法
施設利用の場合
- 施設の選定
教育支援センターや適格な民間施設を選びましょう。施設選定の際には学校や教育委員会と相談しながら進めると良いでしょう。
- 相談・指導内容の確認
施設で行われる指導内容が子どもの状況に合ったものか、学校復帰や自立に繋がるものかを確認しましょう。
- 学校との連携
学校と連携し、出席扱いとして認められるよう学習内容や出席日数を記録・共有しましょう。
自宅学習の場合
- ICT学習プログラムの選択
お子様に適したICT学習プログラムを選択し、学校と共有しましょう。提供されている学習内容が何であるのか(算数/数学・国語・理科・社会・英語など5教科の学習ができるかどうか)の確認も大切ですが、出席認定制度への活用を考えれば、計画的な学習プログラムを組むことができるか、学習の記録を容易に管理し、出力できるか、という点も選択の際の重要なチェック項目になるでしょう。
オンライン学習教材「デキタス」では
5教科の学習ができることはもちろん、「マイデータ」ページの「学習記録帳」で学習の進捗状況を科目ごとに確認できます。画面はそのまま印刷することもできるため、学校への学習記録の提出を容易に行うことができます。学習記録の作成に関わるご家庭の負担を大きく軽減することが可能です。出席認定制度における「デキタス」の活用事例は、全国から数多く寄せられています。
- 対面指導の実施
教員や専門家による定期的な訪問指導を計画的に実施しましょう。ここでも、学校の先生方の連携が必須となります。
- 学習活動の成果の評価
学習プログラムの進行状況や成果を定期的に学校と共有し、適切な評価を受けられるようにしましょう。
出席認定制度は十分に活用されていない?
ここまで紹介をしてきた出席認定制度ですが、実際には全国でどのぐらい活用されているのでしょうか。
不登校児童生徒のうち自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数
国立 | 公立 | 私立 | 計 | |
---|---|---|---|---|
小学校 | 40 | 3871 | 59 | 3970 |
中学校 | 73 | 5970 | 396 | 6439 |
計 | 113 | 9841 | 455 | 10409 |
これは「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」という資料で文部科学省が公表した、出席認定制度を活用した児童生徒の実数です。小学校と中学校を合計し約1万人の児童生徒が制度を活用していることがわかりますが、令和4年度の小学校・中学校における不登校児童生徒数は29万9048人にのぼっているため、制度利用者はわずか3.5%にすぎません。なぜ、これほどまでに利用者が少ないのでしょうか。
その最大の要因は「認知度不足」です。学校関係者にも当制度が十分に周知されていないケースが多くみられるほか、多くの保護者様が情報の提供を受けておらず、結果として制度を積極的に活用することができていないのです。この事実は裏を返せば、制度に対する正確な理解に基づき、学校と連携を図ることができれば、誰もが有効に制度を活用できる、ということでもあります。
おわりに
出席認定制度は、不登校の子どもたちが社会的に自立するための重要な支援策です。学校外での努力や学習を評価し、自己肯定感を高めることで、子どもたちが希望する進路を実現する手助けになります。出席認定制度活用の鍵は、「学校との連携」です。その点、制度の活用には学校の先生方との継続的な打合せが必要になるなど、保護者様にとって大きな負担となってしまう面があるのも事実ですが、不登校によって「学び」が止まってしまうことで、お子様の輝かしい未来の可能性が狭まってしまうかもしれません。学校と連携を粘り強く取りながら出席認定制度を活用し、お子さまの成長と自立を支援していきましょう。