2024/08/20

なぜうちの子は算数が苦手なのか?子どもが理解できていないポイントを保護者はわかっていますか?

コラム一発理解!PODCAST版


このコラムを音声で聞きたい方はコチラの動画をご覧ください。PODCAST版に要約して説明しています。

 

小学生のお子さんのいるお母さんと話している中で、小学生の算数の学習で悩んでいる保護者様に共有すると役立つのではないかと感じることがありました。 小学生のお子さんが算数の文章問題で悩んでいたときの話を通じて、子どもたちがどのように算数を理解しているのかを考え、この記事で対策方法を共有させていただきます。

ある日、お子さんが算数のテキストを使って勉強していたときのことです。以下のような文章問題に取り組んでいました。

《問題》
りんごを10こもらいました。
さらに8こもらって、3こ食べました。
りんごは全部で何こあるでしょうか?

この問題には、以下の2つの解き方が書かれていました。

解き方A: 10+8=18, 18-3=15, こたえ15こ

解き方B: 8-3=5, 10+5=15, こたえ15こ

お子さんは、「解き方Aは分かる。だけど、解き方Bは分からない。」と言いました。

ここで「解き方A」は理解できて、「解き方B」が理解できない理由やポイントがわかりますか?

子どもが分からない理由

大人にとっては簡単に見える問題も、子どもにとっては異なる考え方が必要です。お子さんが「なんで8から3を引くの?」と疑問を持ったのは、具体的にりんごそのものをイメージしていたからです。

具体的な説明の方法

そこで、具体的な物を使って説明してみることが大切です。まず解き方Aがわからない子どもに対しては、りんごの絵を描いたり、実際にりんごを使ってみたりします。以下はその一例です。

ステップ1: まず、10個のりんごを描きます。

ステップ2: 次に、さらに8個のりんごを追加します。

ステップ3: その後、3個のりんごを取り除きます。

こうすることで、視覚的にりんごの数の変化を理解することができます。

この段階で解き方Aを理解できても、解き方Bはわからないという子どももいます。この点を子どもとのやりとりを確認しながら、どこがわかっていないのかを確認してみましょう。

親:「10個のりんごがあって、8個増えたけど、3個食べたから、結局は8-3=5の5個増えたってことだよね。だから、最初の10個に5個を足して、10+5=15個。つまり、15個になったね。」

子:「わからない…」

親:「8個増えたけど、3個食べたから、結局は8-3=5の5個増えたってことはわかる?」

子:「わからない…」

(わからないと言っている子どもに、わからない理由を聞いても意味はないのですが、このやり取りを何度もしていると…)

子:「最初に10個のりんごがあって、8個増えたけど、3個食べたんだよね。増えたりんご8個の中から3個食べたんじゃなくて、最初にあった10個から3個食べたのかもしれないよ。」

ここで、

親:「だって、同じでしょ」

と言ってしまう保護者の方はいませんか?

先ほどの子どもの言葉の中に、子どもが理解できていないポイントが含まれています

では、このあと、どのように具体的に説明すればよいのかやりとりを確認してみましょう。

解き方Bの理解を助ける具体例

解き方Bが理解しにくいのは、りんごの数を具体的にイメージしているからです。例えば、「8個のりんごから3個を引く」と言われても、最初に10個あったりんごとは別のりんごの数を抽象的に考えるのは子どもにとっては難しいのです。そこで、解き方Bを具体的に理解するために次のように説明できます。

まずは解き方Aについて、絵を描いて説明するところから確認しましょう。

ステップ1: まず、10個のりんごを描きます。

ステップ2: さらに8個のりんごを追加します。

ステップ3: 次に、8個のりんごのうち3個を取り除きます(ここで、お子さんにはこの3個のりんごが追加のりんごから引かれることを理解させます)。

ステップ4: 最後に、最初の10個のりんごに残りの5個を加えます。

この段階で、

子:「これならわかってる」と言います。

親:「すごいね!」

と褒めつつ、さらにに続けていきましょう。

ステップ1: まず、10個のりんごを描きます。

ステップ2: さらに8個のりんごを追加します。

ステップ3: 次に、最初の10個のりんごのうち3個を取り除きます。

ステップ4: 最後に、りんごを数えて、さらに15個になったことを確認します。

この段階では

子:「あれ?3個のりんごを食べるときに、最初の10個のりんごの中から3個えらんで食べても、もらった8個の中のリンゴから3個えらんで食べても同じ数になったね」

親:「そうだね」

できれば、さらにもう一つの具体例をあげてみるとさらに理解が深まります。

ステップ1: まず、10個のりんごを描きます。

ステップ2: さらに8個のりんごを追加します。

ステップ3: 次に、最初の10個のりんごのうち2個を取り除き、かつ、追加した8個のりんごの中から1個を取り除きます。

ステップ4: 最後に、残っているりんごを数えて、やはり15個になったことを確認します。

このようにすると

子:「あれ?また、15個になった。3個のりんごを食べるときに、どのりんごを食べても最後の数は同じだね」

となります。この段階で、具体的なものを、抽象的にとらえる第一歩を踏むことができるようになったのです。もちろん、たった一つのこの問題だけで、すべてを完全に理解できるようになるわけではありません。こういった数の概念を、普段の生活の中で繰り返し触れさせることで、数の概念を子どもが理解し、抽象的な事柄の理解につながっていきます。抽象的な概念を理解できるようになると、数字の0(ゼロ)を理解することにも役立つようになります。

では、普段の生活の中で、こういったやり取りをどのように組み込めばよいのか一例を確認してみましょう。

例えば、買い物に子どもを連れていったときの例をとりあげてみましょう。親がジュース3本を買い物かごに入れます。子どもには「あと2本買って、家族5人で飲もうね」と言いつつ、2本を買い物かごにいれてもらいます。その後、「今日はお母さんは飲まないから、1本は棚に戻しておこう」といって、子どもにジュース1本を棚に戻させます。「買い物かごには何本残っている?」と言いながら、子どもに数をかぞえさせてみましょう。

このときに、棚に戻す1本のジュースは、もちろん最初の3本の中から選んでも、子どもが追加した2本の中から選んでも同じです。買い物に行くたびに、こういった経験をさせることで、取り除く1本は、どれでも同じで、最終的に同じ数になることを理解するようになっていきます。

発達心理学の視点

スイスの心理学者で、20世紀において最も影響力の大きかった心理学者の一人である発達心理学者のピアジェによれば、 小学生は「具体的操作期」にあります。つまり、小学生は具体的な物事であれば論理的な思考ができるという段階です。抽象的な概念を理解するのが難しいため、具体的な物を使って説明することが重要です。

ピアジェとは?

ジャン・ピアジェは、子供の発達を「段階的」に理解することの重要性を強調した心理学者です。彼の考え方によると、子供たちは異なる発達段階を経て学び、成長します。例えば、彼は「具体的操作期」という段階を提唱しており、これは7歳から11歳頃に当たります。この時期の子供たちは、具体的な物事を操作しながら論理的に考える能力を発達させます。

ある日、ピアジェは自分の娘と一緒に水の量を比較する実験を行いました。娘に2つの同じ大きさのコップを見せ、一方のコップから水を細長いグラスに移し替えました。そして、「どちらのコップに水が多いと思う?」と尋ねると、娘は細長いグラスを指さしました。これは、具体的操作期以前の子供たちが見かけの変化に惑わされるという典型的な例です。

このエピソードから、ピアジェは子供たちがどのように物事を理解し、学ぶかを深く理解しました。子供の成長を見守る母親として、子供たちがそれぞれの発達段階でどのように考え、学ぶのかを知ることは、日々の生活や教育において大いに役立つでしょう。

まとめ

小学生の算数の学習法において、具体的な例を使って説明することは非常に重要です。視覚的に理解しやすい方法や、実際の体験を通じて学ぶことで、子どもたちが算数の概念をより深く理解することができます。具体的な物を使って学ぶことで、抽象的な問題も理解しやすくなります。

親が子どもの学習をサポートする際には、このような具体的な方法を取り入れてみてください。 親が子どもに算数を教える必要はありませんが、日常生活の中で、数の概念を理解させる手助けをすることで、 子どもが算数を楽しんで学び、算数が好きになることを親がサポートすることは可能です!

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